先日、市川侑次郎さんが水輪にご宿泊され、水輪の卒業生として、とても立派になった姿は、今水輪で学んでいる実習生、研修生、スタッフに大きな希望と勇気を与えてくれたと思います。素晴らしい日を皆で共に迎えられたことに感謝致します。本当にありがとうございます。

侑次郎さんの言葉の中で心に残った言葉が2つあります。

それは「大切なのは人間性」という言葉と、「常に学びの姿勢で居続けている」という言葉です。どちらの言葉も、皆水輪で何度も何度も教わっていることです。

侑次郎さんは、社会に出て、誰も助けてくれない、誰も頼りに出来る人がいない、自分で稼がなくては、自分で働かなくては、お金を得ることが出来ない、お金が得られなければ食べることも出来ない、温かい場所で寝ることも出来ない、そのような本当に厳しい場所で、学歴も持っていなかった侑次郎さんは、人間性で勝負するしかなかったのだと思います。どんなに理不尽な事を言われても、納得できないことを言われても「はい、わかりました」と言い続けたこと、少しでも悪いエネルギーやネガティブな発言、ネガティブな態度、返事等をしたら、即クビとなってしまう現実があり、「はい、わかりました」と言い続けるしかなかったこと、そして、それが今の自分を育てた事、相手がどういうエネルギーを出してこようと、それは相手の事であり、自分ではない、相手がいるからこそ、自分を深めることができる。それを常に自分の学びとして捉え、前向きに考え続けることをやらざるを得ない状況に立たされ、やり続けてきたからこそ、見た瞬間に人格がにじみ出るような立派な人間に育ったのだと思います。

それは、12年間の水輪での学びのおかげだと思います。

水輪では、その人が悪い環境で育ったか、良い環境で育ったか、貧しい家庭だったか、裕福な家庭に育ったか等、環境のせいにすることはなく、その人が真摯に人生の目的や宿命とは何かをただ求めていける魂かどうかを見ており、どんな人であっても、どんな病を抱えていても、どんな環境で育った人でも信じ続けてくれる先生方がいます。何よりも、その人は良くなる、必ず良くなると信じ続けてくれることが、その人を成長させてくれています。社会では、出来ない人はすぐお祓い箱となってしまいます。一般社会と水輪社会の違いは、その人がどんなに失敗しても必ず良くなるという、人間の存在の意味、人間の心、人格、人間性の成長を見守って下さるところ、もし仮にどんなに出来ない子であっても心が素直で優しい子は、人々が受け入れ、逆に守ってくれるということもあります。技術を身に着けることも大切ですが、やはり人間性が大切なのだと思います。人は必ず愛情ある中で受ける教育や体験が原点となり変わっていくのだと信じ続けてくれる人がいるというところです。また、先生方のそのお心や、水輪での安心安全な毎食の食事、温かい環境、裏も表もない血の繋がりを越えた仲間がいること等に常に感謝の心を持ち続けることが出来た時、人間性や人格は向上していくのだと思いました。

今回、侑次郎さん一番皆に伝えていたのは、水輪への感謝の思いでした。自分の成長は水輪での12年間の学びがあったからだということを、色んなお話を通して伝えてくれていました。実際にこのように水輪で学び、今社会で素晴らしい人間性を持ち、立派に働いている侑次郎さんの姿をみて、改めて水輪での学びは本物なのだと感じ、自分自身も、今まで以上に水輪での一瞬一瞬の学びを大切にして、成長していきたいと強く思いました。

また、日々の水輪での生活、私がどんなに大きな課題を持っていても決してひと時も諦めることなくご指導し続け、私を信じ続けてくれている先生方への感謝の思いを今一度、深く感じさせて頂きました。この学びと感謝を忘れずにこれからも自己を高める努力をしていこうと思います。

侑次郎さんの姿を通して、大きな学びを得ることが出来ました。

本当にありがとうございました。

水輪スタッフの市川さんは侑次郎君のお母さんです。

侑次郎君が卒業してから今度はお母さんが来ました。

侑次郎君を育てていただいた感謝の思いと十二年間の間に水輪にいる息子に会いに来るたびに、ここで生きたいと思っていたそうです。

現在水輪スタッフとして活躍してくれています。そして立派になって水輪に来てくれた市川君ありがとう。

十二年間一緒に生活して卒業していった時は嬉しくて、寂しくて、悲しい思もちょっぴりあったけど、新しいかとでを祝ってから三年して、水輪に挨拶に来てくれてありがとう。立派になったね。よく頑張ったね。大きく成長したね。神様、侑次郎君をこれからもどうぞ守ってくださるようお願いいたします。（みどり）